ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書

「ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書」は、チベット仏教の教理を学び、修行を実践するために必要な題材を巾広く選び、チベット語原典の和訳、それに関する解説や研究、及びそれらに基づいた書きおろしの著作などによって構成されます。

特に、①専門的で一般の図書出版に馴染まない内容、②信心を前提にした著作で一般の学術論文に馴染まない内容、③密教の高度な行法で灌頂受法者以外に公開できない内容などについては、チベット語の原典が豊富に存在しながら、これまで日本語の書物として刊行しにくい状況となっていました。しかし、本叢書のプロジェクトを通じて、これらを含めたチベット仏教の広範な内容の書物を、積極的に刊行し得る態勢が整うことになります(③については、灌頂や伝授の条件を満たしている方にのみ、本会から直接頒布する方法を採用します)。

こうした企画は、本会の宗教活動に当面必要な教材・資料を提供するのみならず、より広い視点から将来をも見据え、後世に残る「日本語のチベット仏教聖典群」を整備し、真摯に教えを求める人々の正確な指針となるように意図したものです。

現在は、伝統的なチベット仏教の法流が存続の危機にさらされている一方、広く世界中にその教えが拡散している時期といえます。そうした状況を考慮すれば、チベット語原典を自国語に正しく翻訳し、自らの実践的な伝統として確立してゆくことは、世界各地のチベット仏教徒に課された責務だともいえるでしょう。本叢書の企画も、そうした大きな潮流を視野に入れた出版活動として、末長く継続して参りたいと考えております。

「ポタラ・カレッジチベット仏教叢書」の御購入方法
ポタラ・カレッジ東京センターで、常備・頒布致します。
送付御希望の場合は、郵便、Eメール、ファクス、電話等にて御注文ください。そのうえで、代金と送料を、下記銀行口座へお振込み願います(複数冊送付の場合は、送料が安くなることもありますので、お問い合わせください)。

  みずほ銀行 神田支店(店番108) 普通預金 1074492
  ポタラカレッジ出版部 (ポタラカレツジシユツパンブ

※ 10月1日(火)~20日(日)は定期講習の休講期間で、ポタラ・カレッジ東京センター現場での事務取り扱いを行なっておりません。そのため、この期間に御注文いただいた「ポタラ叢書」の発送は、21日(月)以降に順次対応させていただきます。御不便をおかけして恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。

※ 書店様へ 本会は小規模な仏教団体であり、営利を目的とした出版事業者ではないため、取次との取り引きは行なっておりません。しかし、個別に御依頼があれば、書店様へ直接卸すことは可能ですので、メール等で御相談ください。


チッタマニ・ターラー尊成就法 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書9)

ゲシェー・ソナム・ギャルツェン・ゴンタ、小野裕子 著
チベット仏教普及協会 発行 2022年
ISBN978-4-903568-10-2 上製A5版305ページ、カラー図版2枚(二十一尊ターラー集会図等) 
頒価3,900円(送料400円)

チッタマニ・ターラー尊成就法

ターラー尊は、諸仏による衆生救済活動を集約して一身に体現した母尊であり、チベット仏教で篤く信仰されています。仏道修行の速やかな成就をはじめ、様々な御利益の祈願にも霊験あらたかな本尊だと考えられています。
本書には、このターラーを本尊とする修行のやり方が、一般向けの祈願法から高度な密教の成就法まで、解説とともに収録されています。
第Ⅰ部では、『二十一尊ターラー礼賛経』を中心とする広略の行法を紹介しています。これらは、灌頂の有無に関係なく、誰でも実践できます。
第Ⅱ部は、無上瑜伽タントラに基づくチッタマニ・ターラーの行法で、これは灌頂を受けてから修行する深遠な内容です。
いずれも、実修のための経軌は、チベット文、片仮名読み、和訳を併記してあります。第Ⅱ部では、成就法儀軌の後に、生起次第・究竟次第の詳しい解説があります。
著者による紹介文は、こちらを御覧ください。

チベット仏教 所作タントラ成就法集1 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書8)

チベット仏教普及協会 編著・発行 2021年
ISBN978-4-903568-09-6 A5版165ページ 頒価2,500円(送料300円)

所作タントラに属する行法のうち、最も代表的な諸尊の成就法をまとめて収録した一冊です。
掲載されている成就法は、次のとおりです。

所作タントラ成就法集

1.十一面観世音菩薩の成就法
2.文殊菩薩の成就法
3.薬師如来の成就法
4.七仏薬師念誦祈願
5.忿怒三尊を合一した金剛手の念誦
付録 供養の手印

密教を段階的に整理した四部タントラの体系で、「所作タントラ」は、最も基礎的な行法と位置づけられるものす。如来・蓮華・金剛の三部に分類される諸尊の経軌類と、『蘇悉地経』や『後禅定品』など行法の枠組みを提示した総タントラが、所作タントラの範疇に含まれます。上記の各成就法の本尊では、薬師如来と文殊菩薩が如来部、観世音菩薩が蓮華部、金剛手が金剛部となります。
「成就法」とは、それぞれの本尊のタントラに基づき、インドやチベットの聖者たちが、行法を実修するためにまとめた儀軌です。本書では、儀軌のチベット文、片仮名読み、和訳を併記していますから、内容を口で誦えながら観想する修行の実践に便利です(但し、収録された各成就法を自分で行じるためには、該当する本尊の灌頂・許可灌頂を受けている必要があります)。
全体の編纂は、本会副会長クンチョック・シタル師が中心になって行ない、各成就法の和訳等の内容は、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師、クンチョック・シタル師、ガワン・ウースン師と、会員・受講者の有志によって手がけられたものです。

チベット仏教 高僧法話集 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書7)

チベット仏教普及協会 編著・発行 2013年
ISBN978-4-903568-08-9 A5版185ページ 頒価2,500円(送料300円)

ポタラ・カレッジ設立十五周年の記念として、これまでに本会でお招きした高僧の方々による比較的一般向けの教えをまとめ、法話集を作りました。
収録されている御法話は、次のとおりです。

高僧法話集

1.キャブジェ・デンマ・ロチュー・リンポチェ猊下(ナムギェル寺元僧院長、本会宗教・学術顧問)「チベット仏教の実践」
2.ゲルク派管長(当時)第百世ガンデン座主キャブジェ・ロサン・ニマ猊下「宗祖ツォンカパ大師の教えとその実践」
3.ゲルク派副管長チャンツェ法主(現管長第百二世ガンデン座主)キャブジェ・リゾン・リンポチェ猊下「菩提に至る道の階梯と要訣」
4.大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師(大本山デプン寺ロセルリン学堂長老)「チベットの般若心経」
5.同「仏法とともに歩む心」
6.大本山デプン寺ロセルリン学堂僧院長(当時)ゲシェー・ロサン・ギャツォ猊下「唯識と中観」
7.大本山デプン寺ロセルリン学堂僧院長(当時)トクデン・リンポチェ猊下「菩提道集義講伝」
8.大阿闍梨チャト・リンポチェ師(現ギュトゥー寺僧院長)「仏教の要点、密教の要点」
9.ダラムサラ仏教論理大学学長ゲシェー・タムチュー・ギェルツェン師(本会宗教・学術顧問)「煩悩の認識論的考察と実践的対処法」
巻末には、1998年から2012年までの期間にポタラ・カレッジで行なわれた高僧の御法話や灌頂・伝授などの記録があります。

甚深道たる上師供養儀軌 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書6)

パンチェン・ラマ4世ロサン・チューキ・ギェルツェン造
チベット仏教普及協会 編著・発行 2011年
ISBN978-4-903568-06-5 A5版111ページ、カラー図版1枚(上師供養の集会図
頒価2,200円(送料200円)

ゲルク派密教のグルプージャ(上師供養)の儀軌として、最もよく知られた代表的なものです。無上瑜伽タントラに基づいた極めて深遠な行法ですが、ラムリムやロジョンなど顕密共通の道も網羅した広大な内容が凝縮されています。ポタラ・カレッジでも、毎月の定例法要など、様々な機会にこれを厳修しています。
本書は、チベット文、片仮名読み、和訳を併記し、コンパクトなハンディサイズとなっているから、実修に便利です(但し、これを自宅等で独りで行じるためには、無上瑜伽タントラの灌頂を受けている必要があります)。和訳は、ヨンズィン・イェシェー・ギェルツェン大師の解説書などを参照し、本会会長ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師と受講者有志が新たに訳したものです。

パンチェン・ラマのラムリム (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書5)

四世 ロサン・チューキ・ギェルツェン「安楽道」
五世 ロサン・イェシェー「速得道」
ゲシェー・ソナム・ギャルツェン・ゴンタ、小野裕子 全訳
チベット仏教普及協会 発行 2009年
ISBN978-4-903568-05-8 A5版358ページ  頒価3,600円(送料350円)

この本には、パンチェン・ラマ四世(一世)ロサン・チューキ・ギェルツェン大師の『ラムリム・デラム(菩提道次第・安楽道)』と、同五世(二世)ロサン・イェシェー大師の『ラムリム・ニュルラム(菩提道次第・速得道)』の和訳が収録されています。読者の理解を容易にするため、できるだけ平易な口語表現を用い、見出し等の表示方法を工夫していますが、基本的にはチベット語原典に忠実な翻訳です。
「ラムリム(菩提道次第)」とは、仏教全般に渡る教理・実践の枠組みを設定し、一人の修行者が入門から仏陀の境地へ至る、その道筋を順序だてて説き示したものです。この教えの流れは、チベット仏教中興の祖師アティーシャによって確立され、ゲルク派の宗祖ツォンカパ大師の手で集大成されました。その最大の成果といえるものが、『ラムリム・チェンモ(菩提道次第広論)』です。
ツォンカパ大師の法灯を継承するゲルク派の優れた学僧たちは、それぞれの時代の要請に応える形で、『ラムリム・チェンモ』の広大な内容を整理した要略や、瞑想修行用にまとめた教誡を残しています。それらの中でも代表的なものが、本書の前半に収録されているパンチェン・ラマ四世の『ラムリム・デラム』です。この著作の主な特長は、密教色の濃い方法で「ラムリム」の内容を瞑想する点だといえます。
一般論として、「ラムリム」の中身の大半は、顕教に属する教えだと考えられています。しかしながら、密教の立場からすれば、それは「顕密共通の道」と位置づけられます。この「共通の道」は、密教を志す初心者が、前行として修行すべき課題です。また、既に灌頂を受けた密教行者も、全ての基礎となる「共通の道」を繰り返し修習しなければなりません。『ラムリム・デラム』は、そうした「共通の道」の修行に直接役だつ、極めて実践的な教誡です。
2002年4月にポタラ・カレッジ東京センターで、キャプジェ・デンマ・ロチュー・リンポチェ猊下(ナムギェル寺元僧院長、本会宗教・学術顧問)が『ラムリム・デラム』の講伝を三日間に渡ってお授けになったのも、この教えの重要性を意図なさってのことだといえるでしょう。
後半に収録されている『ラムリム・ニュルラム』は、パンチェン・ラマ五世が、『ラムリム・デラム』の註釈として著わしたものです。これを参照しながら『ラムリム・デラム』の教えを正しく学び、そのうえで瞑想の実践に入るならば、大変効果的な修行になるでしょう。

精読・シャーンティデーヴァ 入菩薩行論 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書4)

ゲシェー・ソナム・ギャルツェン、西村香 訳註、 宮坂宥勝 序文
チベット仏教普及協会 発行 2009年
ISBN978-4-903568-04-1 四六版325ページ 頒価3,000円(送料300円) 品切れ中

『入菩薩行論』は、インドの大聖者シャーンティデーヴァ(寂天)が、菩提心と六波羅蜜を絶妙な韻律で説き示した珠玉の教えです。チベット仏教の世界では、大乗仏教の思想と実践を学ぶために欠かせない重要典籍の筆頭に掲げられています。ダライ・ラマ法王は、これまで幾たびも『入菩薩行論』の解説をなさり、また様々な御法話の機会に、その教えの数々を引用されています。 そして、『入菩薩行論』の内容を深く学ぶよう、ことあるごとに強調なさっています。
本書は、この『入菩薩行論』全篇の平易な口語訳として2002年に大法輪閣より出版された『チベット仏教・菩薩行を生きる』という単行本の復刻版です。この御縁で、さらに多くの人々が『入菩薩行論』の珠玉の教えに親しむことになれば幸いです。
本書は『チベット仏教・菩薩行を生きる』の複写製版のため、内容は全て旧版と同じです。この点に留意のうえ、御注文なさってください。

チベット仏教常用経軌集 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書3)

チベット仏教普及協会 編著・発行 2008年
ISBN978-4-903568-03-4 A5版91ページ 頒価2,000円(送料200円)

ポタラ・カレッジ設立十周年の記念として、『チベット仏教常用経軌集』を出版しました。これは、チベット仏教の伝統に照らし、本会の諸法会や各自の勤行に際して日常的に用いられる経軌類を集めたもので、チベット文、片仮名読み、和訳を併記しています。軽くて持ち運びやすい体裁とし、真言の片仮名読みにチベット人ラマの慣用的な発音を採用するなど、実用面で便利なものとなるよう心がけました。
収録内容は、三帰依と発菩提心、四無量心、根本中論頌の帰敬偈、現観荘厳論根本頌の帰敬偈、タプケー・トゥクジェ(教主釈迦牟尼仏の十二相礼賛偈)、カーニャムマ(インド仏教八大論師の礼賛偈)、ガンデン・ラギャマ(宗祖ツォンカパ大師の七支分礼賛偈)、ミクツェマ(ツォンカパ大師の祈願偈)、ユンテン・シルキュルマ(ラムリムの修習偈)、ターラーの礼賛偈、二十一尊ターラー礼賛経、心経開経偈、般若心経、曼荼羅供養広作法、金剛薩埵百字真言修習念誦法、諸尊真言、ニュルゼーマ(護法尊六臂マハーカーラの願文)、パクカーマ(護法尊ペルデン・ラモの七支願文)、普廻向です。

八つの詩頌による心の訓練 (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書2)

ゲシェー・ソナム・ギャルツェン・ゴンタ 著
チベット仏教普及協会 発行 2007年
ISBN978-4-903568-02-7 四六版295ページ 頒価3,000円(送料300円) 品切れ中

本書のテーマである「ロジョン(心の訓練)」は、大乗仏教思想に基づき、自己中心的な心を菩薩の利他心へ転換してゆくための、極めて実践的な秘訣です。この教えの流れは、チベット仏教中興の祖師アティーシャによってチベットへもたらされ、その直系となるカダム派の諸師たちの手で、様々な「ロジョン」の聖典がまとめられています。
その中でも、本書の冒頭に収録されているゲシェー・ランリ・タンパ師の『心の訓練 八つの詩頌(ロジョン・ツィクギェーマ)』は、非常に短い教えの中に「ロジョン」のエッセンスが凝縮されたものとして有名です。この『ロジョン・ツィクギェーマ』の瞑想法としてゲルク派に伝えられてきた教誡を、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師が1998年に講義した内容が、本書にまとめられています。従ってこれは、「チベット語原典の和訳とそれに関する解説」の部類に入ります。
大乗仏教の実践に関心をもつ様々な立場の人々の役にたつ教えであり、また特に人間関係などの問題に苦悩している人々の救いとなる内容といえるでしょう。

ラムリム伝授録 I・II (ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書1)

ゲシェー・ソナム・ギャルツェン・ゴンタ、藤田省吾 共著
チベット仏教普及協会 発行 2006年
Ⅰ 序論と下士 ISBN978-4-903568-00-8 A5版361ページ 頒価3,500円(送料350円)
Ⅱ 中士と上士 ISBN978-4-903568-01-6 A5版348ページ 頒価3,500円(送料350円)

本書の主題「ラムリム(道次第)」は、仏教全般に渡る教理・実践の枠組みを設定し、基礎から覚りに至るまでの修行の道のりを詳しく説き明かしたものです。この教えの流れは、チベット仏教中興の祖師アティーシャによって確立され、ゲルク派宗祖ツォンカパ大師の手で集大成されました。私たちは、仏教を学び実践してゆく様々な段階で、常にこの「ラムリム」の教えを指針とし、修行の道を正しく歩んでゆくことができるのです。
それゆえ、「ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書」を発刊するにあたり、まさしくこの「ラムリム」こそ、最初に扱うテーマとして最もふさわしいものといえるでしょう。
本書に収録してある「ラムリム」の教えは、ツォンカパ大師の『菩提道次第広論(ラムリム・チェンモ)』、『菩提道次第略論(ラムリム・チュンワ)』、『菩提道次第集義(ラムリム・ドゥートゥン)』という広・略・最要略の三つの原典に基づき、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師が口頭伝授した内容を、聴聞した本会会員藤田省吾氏が記録し、さらにこの二人が諸注釈も参照しながら検討を重ねて再構成したものです。従ってこれは、「チベット語原典に基づいた書きおろしの著作」の部類に入ります。

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