チベット仏教普及協会
《ポタラ・カレッジ》
【2024年1月24日最終更新】
お蔭様で、全ての行事は無事に成満しました。ありがとうございます。
現代のチベット仏教界を代表するゲルク派の高僧 チャト・リンポチェ猊下が、総本山善通寺(真言宗善通寺派・香川県)の招聘により御来日され、チベット仏教普及協会(ポタラ・カレッジ)東京センターでも12月下旬に密教の灌頂を授けてくださいました。
チャト・リンポチェ猊下は、ダライ・ラマ法王直属のナムギェル寺やゲルク派密教最高学府のギュトゥー寺の僧院長を歴任され、四部タントラによって構成されるチベット密教の隅々まで通暁された大阿闍梨です。今日において、ダライ・ラマ法王猊下が最も信頼を寄せていらっしゃる高僧のお一人として、チベット人社会で広く知られています。また、伝統的にチベット仏教徒の多いモンゴルで、国師として教化活動に長く御尽力され、人々から絶大な信仰を集めています。
今回は短い日程ですが、前行御法話、チャクラサンヴァラの大灌頂、孔雀明王の許可灌頂、十一面観自在の許可灌頂を実施しました。
◎ 会場は全て、ポタラ・カレッジ東京センター
◎ いずれの教えも、''リアルタイムのオンライン受法を併用しました
(総本山善通寺でのチャト・リンポチェ猊下による「秘密集会大灌頂」などの記録は、こちらを御覧ください)
12月22日(金)午後6時~9時 【一般向の内容】
密教の灌頂や伝授を受けて修行するためには、その基盤として顕密共通の道を修練しなければなりません。つまり、仏教一般と大乗仏教をよく学び、正しく理解し、そのうえで堅固な信心と殊勝な動機を確立することが必要不可欠です。そのため、一連の密教伝授の冒頭に、大阿闍梨御自身から「前行御法話」を授けていただきました。
こうした教えは、「知識として既に学んでいるからもうよい」ということではなく、大阿闍梨自身の口から語られる内容を真摯に聴聞して受け取り、その受法体験を通じて自分自身の心の流れを仏道修行にふさわしい在り方へ変容させてゆくことに意味があります。
12月23日(土)午後2時~6時、24日(日)午後2時~8時 【会員限定】
密教の最奥義となる無上瑜伽タントラの中でも、母タントラを代表する「チャクラサンヴァラ(最勝楽)」ルーイーパ流の、四灌頂を具足した完全な大灌頂です。ゲルク派宗祖ツォンカパ大師は、一切タントラの王である「秘密集会(グヒヤサマージャ)」に加えて、「チャクラサンヴァラ」を併修することの意義を強調なさっています。それには明確な理由があり、簡単にいえば、「秘密集会」が幻身を立ち上げる最も効果的な行法を説いているのに対し、「チャクラサンヴァラ」は光明の現前に効果的な秘訣を提示しているからです。顕教よりも密教が優れている点は、仏陀の法身と色身を速やかに得られることです。そして光明と幻身は、まさに法身と色身を得る手段の中でも、究極のものと位置づけられます。
「チャクラサンヴァラ」の諸流儀の中でも、ルーイーパ流は最も代表的なものであり、ゲルク派密教の最高学府として名高いギュメー寺やギュトゥー寺で正式なカリキュラムとなっているのも、この流儀に基づく行法です。
今回「チャクラサンヴァラ」の大灌頂を受法した方は、大乗仏教の教えを正しく学ぶという心がげを一層堅固にし、密教に対する信心を高め、常に大阿闍梨と三宝を恭敬して帰依することが肝要です。そして、「菩薩戒」と「三昧耶戒」を守り、「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行することなど、大阿闍梨との誓い(三昧耶)を忘れないようにしてください。
無上瑜伽タントラ大灌頂の受法資格: ①顕密共通の道として「ラムリム」や「ロジョン」の教えをよく学び実践していること。②「六座グルヨーガ」を毎昼夜に修行すると誓えること。この2点が、受法の必須条件となっています。
12月25日(月)午後6時~9時 【比較的一般向の内容】
孔雀明王は、様々な魔障や、悪い龍の害を消除する本尊とされています。こうした利徳を授かるには、単なる現世利益としてでなく、「この御縁を生かして、大乗仏教の修行に精進する」という心構えがとても大切です。
今回の許可灌頂は、そのような孔雀明王と結縁し、障礙からの守護を授かるためのものです。チベット密教の灌頂の本尊として、やや珍しい部類といえます。
12月26日(火)午後6時~9時 【一般向の内容】
観自在は、諸仏の大悲を体現する本尊で、菩薩の姿を見せています。中でも十一面観自在は、大悲が様々に展開していく相を示しているといいます。
今回の許可灌頂は、そのような十一面観自在と結縁し、諸仏の大慈悲の加持力を授かるものです。これを受法することで、『所作タントラ成就法集Ⅰ』に収録の「十一面観音菩薩の成就法」を本尊瑜伽として実修できます(前もって完全な灌頂を何か受けている場合)。
ポタラ・カレッジのオンライン受法は、YouTubeを視聴するようなやり方ではなく、事前にきちんと受法者を登録したうえで、リアルタイムのZoomを通じて大阿闍梨にも受者一人ひとりを認識していただける形で行なっています。法儀に先だち、できるだけメールでガイダンスに勤めております。こうした方法は、チャト・リンポチェ猊下も事前にお認めくださっているので、オンラインであっても正式に灌頂を受法したことになります。
また今回は、オンライン受法者の方々が直接大阿闍梨とお目にかかっていただけるように、12月27日(水)の午後、ポタラ・カレッジ東京センターで謁見の機会を設けました。
1954年、チベット本土に生まれる。3才のとき、チャトbya doトゥルクの転生霊童として認定される。インドへ亡命後、ゲルク派大本山セラ寺チェーパ学堂で学修し、ゲシェー・ララムパという仏教哲学の最高学位を取得。さらに、ゲルク派最高格式の密教道場ギュトゥー寺で密教の学修を積む。'97年にナムギェル寺僧院長、2013年にギュトゥー寺副僧院長(ラマ・ウンゼー)となり、2014年に同寺僧院長(ケンポ・リンポチェ)として晋山、2017年に任期満了。四部タントラ全ての教相・事相に精通した大阿闍梨で、ダライ・ラマ法王からの信任も極めて厚い。
2003年7月、'06年5月、'07年9~10月、'12年10月、'14年4月、'17年4月と、これまで6回に渡りポタラ・カレッジ東京センターにて説法を行ない、「金剛界法」の伝授や『真言道次第広論』瑜伽タントラ品の講伝、「ヤマーンタカ 一尊」、「ヤマーンタカ 十三尊」、「秘密集会聖者流」、「秘密集会ジュニャーナパーダ流」の大灌頂などを授ける。
◎ 大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下による教えは全てチベット語で行なわれ、クンチョック・シタル師(本会主任講師)が、日本語への通訳を担当しました。
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